一周忌の引き出物の選び方や渡し方のマナーに不安を感じている方も多いのではないでしょうか。本記事では、費用相場やのし(掛け紙)の書き方なども含めて、一周忌の引き出物に関する重要な情報を詳しく解説します。
目次
一周忌法要とは
一周忌(いっしゅうき)は、故人が亡くなってからちょうど一年目の命日に行う年忌法要です。この法要は「祥月命日(しょうつきめいにち)」つまり故人が亡くなった月の命日に行います。しかし近年では、参列者の都合を考慮し、命日前の土曜日や日曜日に行うことが一般的です。
一周忌法要は、遺族や親しい友人、知人が集まり、故人を偲んで供養する重要な行事です。故人の思い出を共有し、悲しみを癒す機会となるだけでなく、遺族の心の整理や故人への感謝の気持ちを示す場でもあります。
一周忌の引き出物とは?
一周忌の引き出物は、法要に参列してくれた方々に対する感謝の気持ちを表す品物です。
ここでは、一周忌に引き出物を渡す理由や、引き出物と返礼品の違いを詳しく解説します。引き出物の意味を理解することで、適切な選択と渡し方ができるようになるでしょう。
一周忌に引き出物を渡す理由
一周忌法要に招かれると、参列者は遺族に金品やお供え物を贈ります。施主はこれらに対するお礼として、参列者にお返しの品物を贈ります。
このお返しの品物は、当日お持ち帰りいただくことから、「引き出物」や「引き物」とも呼ばれています。引き出物には、故人を偲ぶ気持ちや遺族の感謝の意が込められています。
引き出物と返礼品の違い
一周忌法要において、「引き出物」と「返礼品」はしばしば混同されがちですが、実際には異なる意味を持ちます。
- 引き出物:主に法要の席で参列者に直接手渡されるもの
- 返礼品:法要に参列できなかった人にも送られることがあるもの
ただし、実際の使用では「引き出物」と「返礼品」という言葉が混同して使われることも多く、本質的な意味の違いはあまりありません。どちらも、法要への参列や香典、お供えなどへの感謝の気持ちを表すために贈るものです。
一周忌の引き出物の相場
引き出物の金額は会食がある場合とない場合で相場が異なります。以下で詳しく解説します。
会食ありの場合
会食代と引き出物の金額を合算した金額が、いただいた「御仏前」の7~8割 になるよう調整しましょう。10,000円の御仏前に対して、5,000円の会食を用意した場合、2,000円〜3,000円程度の引き出物をお渡しするのが適切です。
会食なしの場合
会食なしの場合は引き出物の相場が少し高くなる傾向にあります。以下の合計がいただいた「御仏前」の7~8割になるように調整しましょう。
- 引き出物
- 持ち帰り用の折詰弁当
- 小ぶりなサイズの瓶に入ったお酒(会食で飲むお酒のかわり)
一周忌の引き出物にふさわしい品物選びのポイント
一周忌の引き出物の品物を選ぶポイントを解説します。基本的にはお持ち帰りいただくことを考えて、重いものやかさばるものは避けた方がよいでしょう。
引き出物には「消えもの」が定番
一周忌の引き出物には「消えもの」とよばれる、食べてなくなる食品や実用的な消耗品を選ぶのがいいとされています。これは「不祝儀を残さない」といった考えによるものです。ただし、近年では一周忌法要の引き出物にはあとに残る物を選んでもよいとされています。
小分けになったお菓子がおすすめ
一周忌の引き出物には、「引き菓子」とよぶお菓子を贈ることもあります。引き菓子には、一周忌の法事に出席した方が自宅に帰り、家族でお菓子を分かち合う「おすそわけ」という意味があります。
なかでも常温で日持ちのする個包装の焼き菓子がおすすめです。アンリ・シャルパンティエの「フィナンシェ・マドレーヌ詰合せ
2種16個入り」は、年齢や性別を問わず、幅広い層に好まれるため、引き出物に適しています。高品質な素材と上品なパッケージは、一周忌や法事の引き菓子にふさわしい商品といえるでしょう。
軽量でかさばらないタオルが人気
タオルは軽量でかさばらないため持ち帰りやすく、一周忌の引き出物として人気があります。日常的に使用される実用的なアイテムで、使用するたびに消耗していくため、「消えもの」の条件にも合致します。
さまざまなデザインがありますが、シンプルで上品なデザインを選ぶことで、引き出物としての品格を保つことができます。
一周忌の引き出物マナー
一周忌の引き出物を用意する際に、不安になりがちなのはマナーについてではないでしょうか。ここでは のし(掛け紙)の選び方、書き方や引き出物の渡し方を解説します。
マナーはそれぞれ地域や宗教によっても異なる場合があるため、事前に確認しておくことと安心です。
のしの選び方
一周忌の引き出物にはのし(掛け紙)をつけるのが一般的です。黒白または双銀の結び切りの水引を使用しましょう。結び切りには「繰り返さない」「一度で終わる」という意味があり、一周忌に適しています。花結びは「繰り返す」意味があるため、葬儀や法要では使用しません。
なお、水引の色には地域差があり、関西の一部では黄白を使用することもあります。掛け紙は参列する地域の慣習に合わせて選ぶことをおすすめします。
のしの書き方
表書きは、全国的には「志」が一般的で、関西地方では「粗供養(そくよう)」と書くケースが多いです。
通夜や葬儀の際は「悲しみを表す」という意味で薄墨を使用するというのがマナーですが、一周忌の香典や返礼品の表書きは濃い墨 で構いません。ボールペンやサインペンではなく、毛筆や筆ペンを用いるのがマナーです。
一周忌の引き出物の渡し方
引き出物には「お土産」という意味も込められていますので、参列者が帰るタイミングで渡すのがいいでしょう。法要の会場で直接手渡しするのが基本的なマナーとされています。
一周忌の引き出物に関するよくある質問
一周忌の引き出物について、多くの方が疑問に感じる点や迷いやすい事柄があります。
ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。タブーとされる品物や、特別な状況での対応方法などを知って、一周忌の準備をより円滑にすすめるためのヒントとしてください。
引き出物のタブーとは?
仏事において、肉や魚といった殺生を連想させる物は避けるのがマナーです。昆布やかつお節は結婚などのお祝いにも選ばれることが多いため、一周忌などの弔事返礼品としては控えるのがよいでしょう。
夫婦で参列した場合の引き出物の数は?
夫婦で参列した場合、引き出物は基本的に1つで問題ありません。一世帯に対するお礼としての意味があり、香典も夫婦まとめてもらうのが一般的です。
住職への引き出物について
住職への引き出物も忘れてはいけません。住職本人から断られた場合や、料金に含まれている場合を除き、一般参列者と同じ品物を用意しておきましょう。お布施やお車代と一緒のタイミングで渡します。
欠席者への対応方法
欠席者からお供えをいただいた場合は、お礼状を添えて後日引き出物を贈りましょう。法要の日から1カ月以内を目安としてください。
高額の御仏前をいただいた場合のお返しは?
一般的には、いただいた金額の半額から3分の1程度を目安にお返しの品物を選びます。用意した引き出物に対して高額な御仏前をいただいた場合は、後日改めてお返しを贈るのがマナーとされています。
まとめ|心を込めた一周忌の引き出物選び
一周忌の引き出物選びは、故人を偲び、参列者への感謝を表す大切な機会です。マナーや相場を押さえつつ、心のこもった品物を選ぶことが重要です。
地域や宗派によって慣習が異なる場合もあるので、不安な点があれば寺院や葬儀社に相談するのもよいでしょう。大切な人を偲ぶ心と、参列者への感謝の気持ちを込めて、一周忌の引き出物を選んでください。